相続税を心配するあまり、後継者のみならず、兄弟・甥姪・遠縁の親戚にまで株式を贈与して分散させる例も見かけます。しかし、株式が分散すれば、当然、オーナー及び後継者の会社を支配する基盤が小さくなります。支配基盤が小さくなり他に同程度の持分割合を持つ株主がいるような状態では、後継者の会社経営は困難をきわめます。
現在は友好的株主といえる親戚であっても、代替わりすればどんどん遠縁になります。
そうでなくても、親族間での相続には「争族」と揶揄されるほど紛争が多いのが現実です。このように、分散にはリスクがあり、基本的に、株式はできる限り後継者本人(場合によってはその直系の子を含む)に集中させておくべきです。
相続税については、しかるべき対策をもって手当てすることを考えましょう。この点は、本書でも、「第4章 事業財産の承継と税」及び「第5章 事業財産の承継と節税方法」の項においてご説明しています。いつどれだけの株式を贈与するのがよいか、税務当局に対する証拠を残すという意味で一定の納税をも考慮すべきかという詳細については、当該項目をご参照ください。