公正証書遺言は、普通の公正証書の作成と異なり、必ずしも公証役場で作成される必要はありません。公証人に出張してもらい、自宅や病院で作成することもでき ます。作成の要件は、以下のとおりです。
証人は、遺言の作成手続の最初から最後まで立ち会っている必要があります。また、この証人は、誰でもなれるものではなく、1)未成年者、2)推定相続人・受 遺者及びその配偶者ならびに直系血族、3)公証人の配偶者・4親等内の親族、書 記及び雇人は、その資格がありません。
遺言の趣旨とは、遺言の内容のことです。口授とは、口頭で言語をもって述べることをいいます。したがって、手話や身振り手振り、質問に対してうなずく等の行 為は口授でなく、このような行為をもって遺言書を作成することはできません。
口授に用いる言語は外国語でも構いませんが、公正証書は日本語で作成しなけれ ばならないため、通訳を立ち会わせる必要があります。なお、平成11年改正によ り、聴覚・言語機能に障害がある方は、手話通訳または筆談により公正証書遺言を 利用できるようになっています。
(c)
公証人がその遺言者の口授した内容を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせる。
実務上は、公証人が遺言者と面接し、遺言者が「遺言書の趣旨は先に交付した 遺言作成の書面のとおり」とか「あらかじめ遺言者の依頼した弁護士が作成して 公証人に交付してある原稿と同じ趣旨」ということを述べたときには、この要件 をみたす扱いがとられています。なお、聴覚に障害のある方が手話通訳または筆 談により公正証書遺言を利用できることは、前項と同じです。
(d)
遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名・押印する。
遺言者については、公証人が遺言者と面識がない場合、本人確認のために、公 証人が遺言者に対し、「印鑑登録証明書の提出、その他これに準ずべき確実な方法」を要求することが定められています。証人に関してはこのような規定がなく、 押印は実印を用いなくても構いません。
また、病気等で遺言者が署名することができないとき、民法は、公証人はその 事由を付記して、署名に代えることができるとしています。
(e)
公証人がその証書が適式な手続にしたがって作成されたものであることを付 記して、これに署名する。