株式公開の意義と手続

事業承継マニュアル

第6章

株式公開と事業承継

集合写真
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株式公開の意義と手続
(1)

株式公開の意義

株式公開とは、非公開の自社株を証券市場に上場・公開することにより、特定の少数株主に支配されていた閉鎖的な会社が、広く外部の一般株主から出資を仰ぎ、開かれた会社となることです。最近ではIPO(Initial Public Offering:新規公開)という言葉が使われることも多くなっています。
株式公開を行うことにより、事業拡大に不可欠な長期安定資金の調達が可能になることや社会的知名度が上がることによる様々なメリット等を享受できる反面、不特定多数の外部株主が増えることで、会社の運営上、同族経営の時には意識することのなかった種々の制約を受けることにもなります。
また、一旦株式公開した後は、配当原資となる利益を長期安定的に計上することや常に株価を意識した経営が求められる等、非公開会社とは比べものにならない重い責任を負うことになります。
したがって、株式公開を検討するにあたっては、会社の長期的な成長ビジョンに確信が持てることが前提であり、その上で、株式公開により得られるメリットと負うべき責任を比較考量して決定することになります。
(2)

株式公開の手続

(イ)
証券市場の種類
株式を公開する証券市場には、大きく分けて「取引所市場」と「店頭市場」の2種類があります。
(a)
取引所市場
東京、名古屋、福岡、札幌の全国4ヵ所に開設されています。それぞれの市場において、独立した法人組織が独自の運営を行なっています。
更に、一つの取引所において、上場基準の違いによる複数の市場が運営されています。
例:東京証券取引所 ①東証1部 ②東証2部 ③東証マザーズ)
(b)
店頭市場
日本証券業協会に店頭銘柄として登録された株式が売買される市場を言います。取引所市場と違い、特定の場所や施設があるわけではなく、実際の取引は証券会社のコンピュータネットワークを通じて行なわれています。
一般的にはジャスダック市場と呼ばれています。
(3)

株式公開の基準

(a)
取引所市場
株式を上場するためには、各市場において独自に定められている上場審査基準を満たさなければなりません。通常は、形式基準と実質基準の2つの基準に適合する必要があります。
1)
形式基準
上場する株式数、株主数、株主資本の額等の客観的な数値基準で、上場するために最低限満たすべき基準です。各市場ごとに独自の基準が設けられています。
また、形式基準は、非公開会社が株式公開の可能な会社かどうかの判定をするための目安にもなります。
2)
実質基準
上場申請した会社が、公開会社となるに相応しい公正・健全な会社であるかどうか等を審査するための基準です。具体的な内容は各市場に応じて異なりますが、主なポイントは、過去の業績や将来の事業計画を基にした会社の継続性および収益性判定、不明朗な取引の有無や社内牽制組織が機能しているか等を基にした健全性判定、法令に準拠した規程や書類が整備されているか等を基にした開示の適正性判定などの会社の質的側面が基準とされています。
(b)
店頭市場
店頭登録するための基準には、信頼性や安定性に加え、将来性や成長性が投資家から高く評価される企業の株式公開が可能となるような基準が定められています。
各市場の形式基準については、章末の<参考資料>をご覧ください。

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