遅延損害金と時効

交通事故損害賠償請求ガイド

交通事故が発生したときの措置、損害賠償責任、損害賠償の範囲、遅延損害金と時効、自動車保険、紛争の解決方法、刑事責任という7つの主題について、交通事故損害賠償請求のQ&Aをご紹介します。

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遅延損害金と時効のQ&A

(1)

遅延損害金

(イ)

加害者の遅延損害金

Q:
自動車事故による加害者に対する損害賠償請求権の遅延損害金はいつの時点から発生しますか?
A:
1.
不法行為による損害賠償債務は、損害の発生と同時に、何らの催告を要することなく遅滞に陥るとされています。そして、遅延損害金の年率は5%とされています。
したがって、自動車事故による損害賠償債務については、事故発生時点から年率5%の遅延損害金が発生します。
2.
裁判の場合には、判決により損害賠償額の元本が認定される際に、元本と併せて、事故日から審理終結時点までの期間の元本の5%の遅延損害金の賠償が命ぜられることになります。
(ロ)

保険会社の遅延損害金

Q:
自動車事故の被害者が、保険会社に対して損害賠償額を直接請求する場合、遅延損害金はいつの時点から発生しますか?
A:
1.
自賠責保険
(1)
自動車事故の被害者は、自動車損害賠償補償法16条1項に基づいて、自賠責保険会社に対して、損害賠償額を直接請求することができますが、この場合、保険会社は被害者から請求を受けた時点から遅滞に陥るとされています。
よって、被害者が自賠責保険会社に対して請求をした日から年率5%の遅延損害金が発生します。
(2)
被害者は、自賠責保険から支払われた保険金に対する、事故日から保険金支払日までの年率5%の遅延損害金を請求することもできます(確定遅延損害金)。したがって、例えば、死亡事故による損害額が4000万円の場合に、事故の1年後に自賠責保険金3000万円の支払を受けた場合、残額1000万円に対する事故日からの遅延損害金と合わせて、支払を受けた3000万円に対する事故日から保険金支払日までの1年分の確定遅延損害金150万円の支払を請求することもできます。
2.
任意保険金
自動車事故の被害者は、任意保険会社に対して、直接保険金の支払いを請求することができますが、この場合の保険金請求権の遅延損害金は、被保険者に対する判決の確定を条件として、事故日から遅延損害金が発生するものとされています。
(2)

時効

(イ)

損害賠償請求権や保険金請求権の時効

Q:
自動車事故による損害賠償請求権や保険金請求権は、いつまでに行使しなければならないという期間制限はありますか?
A:
1.
損害賠償請求権の場合
(1)
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅し、不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする、とされています(民法724条)。
(2)
「損害および加害者を知った時」とは、損害の程度や金額まで具体的に知ることは必要ありませんが、加害者の行為が違法であること、それによって損害が発生したことの両方を知った時をいうとされています。
(3)
例外的に、後遺症の場合には、症状固定日から3年の消滅時効期間を起算します。
(4)
他方、3年の期間が消滅時効期間とされているのと異なって、20年の期間は除斥期間とされ、時効の中断が認められず、また、消滅時効のように当事者がこれを主張する必要がなく、事故の日から20年の経過により当然に消滅するものとされています。
2.
保険金請求権の場合
保険金請求権の場合、損害賠償請求権よりも短期に時効消滅してしまうので、注意が必要です。被害者に対して損害賠償金を支払った加害者の自賠責保険会社に対する保険金請求権は、加害者が損害賠償金を支払った日から2年で時効消滅してしまいます。
3.
被害者請求権の場合
(1)
自動車事故の被害者は、自賠責保険会社に対して直接損害賠償額を請求することができます(被害者請求権。自動車損害賠償補償法16条1項)。この被害者請求権は、被害者が損害および加害者を知った時から2年で消滅時効にかかります(同法19条)。
(2)
時効の起算点については、上記1の場合と同様です。
(3)
消滅時効期間内に仮渡金ないし内払金が支払われれば、その時点で時効が中断します。

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