物的損害の範囲1

交通事故損害賠償請求ガイド

交通事故が発生したときの措置、損害賠償責任、損害賠償の範囲、遅延損害金と時効、自動車保険、紛争の解決方法、刑事責任という7つの主題について、交通事故損害賠償請求のQ&Aをご紹介します。

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損害賠償の範囲のQ&A

(5)

物的損害

(イ)

物的損害の範囲

Q:
自動車事故により自動車が破損した場合、どの範囲まで損害賠償が認められますか?
A:
1.
買替え費用
(1)
実務上、修理費用の賠償が原則であって、代車購入費用の賠償は、新車購入の翌日の事故の場合であっても認められていません。
(2)
例外的に、エンジンやシャーシ等ほとんど全部の部品の取替を必要とし、修理が不能なほど破損した場合には、代車購入費用の賠償が認められています。
2.
格落ち(評価損)
事故歴のある自動車は、通常、下取り・売却の際に評価が下がってしまう(格落ち・評価損)ことから、修理費用の賠償とは別に、格落ち(評価損)自体について一定程度の損害賠償を認める裁判例が多数派のようです。
3.
代車使用
自動車が修理のために使用できない期間中のレンタカー等の代車使用料の損害賠償は当然認められます。損害賠償が認められる代車使用期間は、実際に修理(部品の調達を含む)にかかった期間に限られますが、加害者が修理代金を支払わないため、修理業者から自動車の返還を受けられない間の代車使用料の賠償を認めた裁判例があります。
4.
休車損 タクシーや営業用トラック等営業用車両の場合、修理のためにその車両を使用できないために、営業上の損失を被ることになります。この場合、実際に修理(部品の調達を含む)にかかった期間分の営業損失(逸失利益)の損害賠償が認められます。
5.
その他
買替えが必要になった場合の自動車取得税、新車の車検手数料、車庫証明費用、レッカー代、破損車両の処分費用、時価査定費用、などの損害賠償が認められています。
(ロ)

自動車の買替費用

Q:
購入したばかりの新車に追突されて、修理が必要になった場合、加害者に買替費用の賠償を求めることはできますか?
A:
1.
原則
自動車に損傷を受けた場合の損害賠償額は、修理費とその車両の時価(中古車価格)のいずれか低い方とされています。したがって、被害車両の修理が可能であって、しかも、中古車価格より低い場合には、原則として、修理費を賠償することになります。
2.
例外
(1)
例外的に、修理が物理的または経済的に不可能であるか、または、買替えをすることが社会通念上相当である場合には、事故時の被害車両の時価相当額と下取り代金またはスクラップ代金との差額(買替差額費)を請求できるとされています。
(2)
「経済的に修理が不可能」とは、修理費見積額が被害車両の時価を越える場合をいうものとされています。
(3)
また、「被害車両の時価」とは、原則として、被害車両と同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得するのに要する価額によって定められます。なお、中古車価格は自動車公正取引協議会認定『中古車価格ガイドブック』(「レッドブック」)などが参考になります。
(4)
「買替えをすることが社会通念上相当である場合」とは、フレームやエンジン等車体の本質的構造部分に重大な損傷の生じたことが客観的に認められる場合のことをいいます。
(5)
なお、特別の事情がある場合には、買替え差額を超える修理費用の賠償が認められることがあります。特別の事情とは、被害車両と同種同等の車両を中古車市場で取得することが困難な場合や、市場価格より高い修理費を投じても修理して引き続き使用したいと希望することが社会通念上是認するに足りる相当の理由がある場合などです。

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