過失相殺の範囲4

交通事故損害賠償請求ガイド

交通事故が発生したときの措置、損害賠償責任、損害賠償の範囲、遅延損害金と時効、自動車保険、紛争の解決方法、刑事責任という7つの主題について、交通事故損害賠償請求のQ&Aをご紹介します。

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損害賠償の範囲のQ&A

(7)

損益相殺

(チ)

自動車対自転車の事故の過失割合の基準

Q:
自動車と自転車の事故において、どのような場合にどのような割合で双方に過失が認められるかの基準があれば教えてください。
A:
1.
過失相殺
民法722条2項により、被害者に過失(落ち度)がある場合には、裁判所は、これを考慮して損害賠償額を算定することができます(過失相殺)。例えば、被害者に総額1000万円の損害が生じた場合でも、被害者側に3割の過失があれば、加害者の賠償すべき損害額は700万円になるということです。
2.
自転車の過失割合
(1)
自動車に比べて自転車の方が明らかに危険性が低いことから、自転車と自動車の過失割合は、歩行者と自動車の場合に準じて考えることが基本的に妥当です。
(2)
赤信号を無視した自転車の過失割合は、歩行者の場合(70%)に準じて80%程度とされています。
(3)
交差点で、直進する自転車に対し、右折する四輪自動車が衝突した場合の自転車の過失は原則として10%程度とされています。
しかし、自転車は他の車両から発見しにくい場合があり、また、自動車ほどではなくても走行速度が速く、走行方法によっては事故を引き起こす危険性があります。したがって、右折しようとする四輪自動車の右側後方から自転車が直進したため、衝突したという場合のように、他の車両からの発見が困難な状況で危険な走行をした場合、自転車の過失は10%程度加算されます。
(4)
自転車の2人乗りをしている際に事故が起きた場合、自転車の過失は10%程度加算されます。
(5)
自転車は右折する場合は、交差点の中心部分を通過することが禁止されており、予め道路の左側端に寄って、交差点の側端に沿って徐行しなければならないものとされています。したがって、交差点での対抗直進車との事故で、自転車が交差点の中心部分を通過しようとしていた場合には、自転車の過失は、信号機がある場合で50%、信号機のない場合で30%とされています。
(リ)

シートベルトやヘルメット不着用の場合の過失割合

Q:
自動車事故の被害者がシートベルトやヘルメットを装着していなかったために、被害者が死亡したり重傷を負った場合、過失相殺は認められますか?
A:
1.
過失相殺
民法722条2項により、被害者に過失(落ち度)がある場合には、裁判所は、これを考慮して損害賠償額を算定することができます(過失相殺)。例えば、被害者に総額1000万円の損害が生じた場合でも、被害者側に3割の過失があれば、加害者の賠償すべき損害額は700万円になるということです。
2.
シートベルト不装着と過失相殺
(1)
シートベルトを装着していなかったことは事故の発生自体とは関係がないといえますが、シートベルトを装着していれば被害は発生しなくて済んだ、あるいは、被害が拡大しなくて済んだといえる場合には、被害者にも過失があるとして、過失相殺が認められるのが一般的です。
(2)
シートベルトを装着していなかった被害者が後遺症等級7級になった事案で、被害者の酒気帯びと合わせて20%の過失が認められた裁判例、
(3)
シートベルトを装着していてもほとんどその効果はなかったと認められるものの、その負傷部位や程度からしてシートベルトを装着していればもっと軽い怪我で済んだ可能性が高いとして、被害者に10%の過失が認められた裁判例
等があります。
3.
ヘルメット不装着と過失相殺
(1)
ヘルメットを装着していれば被害は発生しなくて済んだ、あるいは、被害が拡大しなくて済んだといえる場合には、シートベルトの場合と同様、被害者にも過失があるとして、過失相殺が認められるのが一般的です。
(2)
ヘルメットを装着していなかった被害者が交差点での事故で死亡した事案で、被害者に10%の過失を認めた裁判例、
(3)
事故の発生自体について特段の過失のない被害者がヘルメットを装着しておらず、死亡した事案につき、被害者に5%の過失を認定した裁判例、
(4)
速度違反とヘルメット不装着の被害者につき30%の過失を認めた裁判例、
(5)
ヘルメット不装着で原動機付自転車に2人乗りしていた同乗者が死亡した事案で、同乗者に10%の過失を認めた裁判例等があります。
(6)
貨物自動車と衝突したバイクの同乗者が内臓破裂で死亡した事案で、同乗者がヘルメットを装着していなかったことは被害の発生・拡大とは関係がないとして、過失相殺を否定した裁判例
があります。

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