損害賠償の範囲2

交通事故損害賠償請求ガイド

交通事故が発生したときの措置、損害賠償責任、損害賠償の範囲、遅延損害金と時効、自動車保険、紛争の解決方法、刑事責任という7つの主題について、交通事故損害賠償請求のQ&Aをご紹介します。

3

損害賠償の範囲のQ&A

(2)

積極損害

(ニ)

入通院のための交通費

Q:
自動車事故により入通院することになった場合、入通院のための交通費につき、賠償請求は認められますか?
A:
1.
被害者が入通院するに際して支出した交通費は、賠償すべき損害として認められます。
2.
ただし、怪我の部位・程度等からみて歩行が困難であるとか、公共交通機関がない等の事情によりタクシーやハイヤーを利用せざるを得ない場合を除いては、電車・バス等公共交通機関の料金が限度とされます。
3.
自家用車を利用した場合は、ガソリン代、駐車場代、高速道路代等の実費を請求することができます。
(ホ)

近親者の看護のための交通費

Q:
自動車事故により入通院することになった場合、近親者の看護のための交通費につき賠償請求は認められますか?
A:
近親者が付添看護のために支出した交通費は、怪我の程度、状況等から付添看護が必要と認められるときは、被害者本人の損害として賠償が認められることがありますが、被害者が入院する病院が近親者の住所地から遠隔地といえない場合は、入院雑費または付添費の中に含むとされる場合もあります。
(1)
夫の付添看護をした妻の東京・大阪間の電車運賃とタクシー代の賠償請求を認めた裁判例、
(2)
母親が入院当初意識がなく症状も重篤であった場合に、アメリカ在住の娘が付添看護のためにアメリカ・日本間の往復航空運賃の賠償請求を認めた裁判例
があります。
(ヘ)

近親者の看護のための交通費見舞いのための交通費

Q:
自動車事故により入通院することになった場合、近親者の見舞いのための交通費につき賠償請求は認められますか?
A:
見舞いのための交通費は、原則として、賠償すべき損害とは認められませんが、被害者が重傷を負って入院し、被害者の両親、配偶者および子どもが病院に駆けつけた場合に、交通費の賠償を認めた裁判例があります。
(ト)

将来の介護費用

Q:
自動車事故により後遺症が残った場合、器具代や住宅の改造費につき、賠償請求は認められますか?
A:
1.
一般論
自動車事故により後遺症が残った場合、日常生活に支障が生じることから、身体機能を補うための器具や、住宅の改造が必要となる場合があります。このような器具の購入や、住宅改造に要した費用は、後遺症の程度や生活環境等を考慮して、身体機能を補うために必要かつ相当な限度で、賠償が認められます。
2.
裁判例
(1)
右目を失明した男子の将来の義眼代として、平均余命58年の間、4年に1度交換する必要があるとして、約99万円の賠償を認めた裁判例、
(2)
失明した場合に、盲導犬関係費用として544万円の賠償を認めた裁判例、
(3)
右下腿部を切断した4歳の男児に将来の義足代として53年間分の合計37万円の賠償を認めた裁判例、
(4)
四肢麻痺等の後遺症を残した17歳の男子に、平均余命58年間に少なくとも11台の車椅子を購入する必要があるとして約144万円の賠償を認めた裁判例、
(5)
その他コンタクトレンズ、足底板装具、下腿免荷装具、義歯、コルセット、カツラ等の器具の購入費の賠償を認めた裁判例があります。
(6)
また、脊椎損傷による両下肢完全麻痺等の後遺症を残した被害者につき、車椅子で動きやすいよう部屋を広くし、段差をなくし、浴室・洗面所を改造し、屋外のテラスをスロープにする等の改造費用の賠償を認めた裁判例等があります。
(チ)

葬儀費用や仏壇・墓碑の購入費用

Q:
自動車事故で被害者が死亡した場合、葬儀費用や仏壇・墓碑の購入費用につき賠償請求は認められますか?
A:
1.
葬儀費用
実務上、火葬・埋葬費用、読経・法名料、御布施・供物料、葬儀業者の費用、花代、弔問客に提供する食事代、遺族自身の葬儀参列のための交通費、49日忌までの法要費等は、現実に支出した金額のうち、130万円~170万円の範囲で賠償が認められています。
なお、遺体搬送費用はこれとは別に実費の賠償が認められています。
遺族以外の関係者の葬儀参列のための交通費、香典返し、引出物代、49日忌を超える法要費等の賠償請求は認められていません。
2.
仏壇・墓碑の購入費用
仏壇・墓碑の購入費用につき、葬儀費用とは別に賠償を認めた裁判例と、葬儀費用に含まれるとして別個に賠償を認めない裁判例とがあります。もっとも、葬儀費用とは別に賠償が認められる場合でも、支出した全額の賠償は認められず、社会通念上相当と認められる金額に限られます。
(リ)

弁護士費用

Q:
自動車事故の被害者が、加害者に対して損害賠償請求訴訟を提起するにあたって、弁護士に依頼した場合、弁護士費用につき加害者に賠償を請求することはできますか?
A:
自動車事故の被害者が、加害者に対して損害賠償請求訴訟を提起するにあたって、弁護士に依頼した場合の弁護士費用は、勝訴しても、その全額を加害者に賠償請求することはできませんが、判決において認容された賠償額(弁護士費用を除く)の概ね10%の賠償が認められているようです。

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