刑事責任2

交通事故損害賠償請求ガイド

交通事故が発生したときの措置、損害賠償責任、損害賠償の範囲、遅延損害金と時効、自動車保険、紛争の解決方法、刑事責任という7つの主題について、交通事故損害賠償請求のQ&Aをご紹介します。

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刑事責任

(ハ)

酒酔い運転と酒気帯び運転の区別

Q:
酒酔い運転と酒気帯び運転とはどのように区別されるのですか?
A:
1.
酒気帯び運転
(1)
酒気帯び運転とは、少しでも飲酒した状態で自動車を運転することをいいます。
(2)
そして、道路交通法上、酒気帯び運転が処罰されるのは、酒気帯び運転をした者が、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラムまたは呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態であった場合をいうとされています(道路交通法117条の2の2第1号、同法施行令44条の3)。
2.
酒酔い運転
(1)
酒酔い運転とは、酒気を帯びて酒に酔った状態で自動車を運転することをいいます。
(2)
「酒に酔った状態」にあるかどうかは、警察官の質問に対する供述態度や供述内容、10秒間直立していられるかどうか等の身体動作等により判断されます。ある程度の量の酒を飲んでも酔わない人もいれば、ほんの少し飲んだだけでも酔ってしまう人もいるように、酒に酔うかどうかは個人差があるものです。したがって、酒気帯び運転の場合のような一律の基準はありません。人によっては、酒気帯び運転の基準より少ない量しか飲んでいないのに、酒気帯び運転とされることもあります。
(ニ)

酒酔いや酒気帯び運転をした場合の道路交通法上の責任

Q:
酒気帯び運転や酒酔い運転をした場合、あるいは、させた場合、道路交通法上どのような刑事責任を負いますか?
A:
1.
酒気帯び運転
酒気帯び運転をした者が、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラムまたは呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態であった場合、1か月以上3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます(道路交通法117条の2の2第1号)。
2.
酒酔い運転
酒気帯び運転をした者が、運転をした場合において酒に酔って、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態であった場合、1か月以上5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(同法117条の2第1号)。
3.
酒気帯び運転をするおそれがある者に対する車両の提供
(1)
酒気帯び運転をするおそれがある者に対して車両を提供したため、提供を受けた者が酒酔い運転をした場合、1か月以上5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(同法同条第2号)。
(2)
酒気帯び運転をするおそれがある者に対して車両を提供したため、提供を受けた者が上記2の状態で運転をした場合、1か月以上3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます(ただし、提供を受けた者が酒酔い状態であった場合は上記 (1) によることになります。同法117条の2の2第2号)。
4.
酒気帯び運転または酒酔い運転の命令または容認
(1)
自動車の使用者、安全運転管理者等その他自動車の運行を直接管理する地位にある者(以下「使用者等」といいます)が、その業務に関し、自動車の運転者に対し、酒酔い運転を命令し、または、容認した場合、1か月以上5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(同法117条の2第4号)。
(2)
上記 (1) の使用者等が、その業務に関し、自動車の運転者に対し、酒気帯び運転を命令し、または、容認したところ、その運転者が、酒酔い運転をし、または、上記1の状態で運転した場合、1か月以上3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます(同法117条の2の2第6号)。
5.
酒類の提供
酒気帯び運転をするおそれがある者に対して、酒類を提供したことにより、提供を受けた者が酒酔い運転をした場合、1か月以上3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます(同法同条第3号)。
6.
酒酔い運転の要求・依頼
同乗した車両の運転者が酒酔い状態にあることを知りながら、車両を運転して自分を運送することを要求し、または、依頼して、その運転者が酒酔い運転をした場合、1か月以上3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます(同法117条の2の2第4号)。

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