任意自動車保険7

交通事故損害賠償請求ガイド

交通事故が発生したときの措置、損害賠償責任、損害賠償の範囲、遅延損害金と時効、自動車保険、紛争の解決方法、刑事責任という7つの主題について、交通事故損害賠償請求のQ&Aをご紹介します。

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自動車保険のQ&A

(2)

任意自動車保険

(レ)

保険金の請求可能期間

Q:
自動車事故が起きたにもかかわらず、任意自動車保険金が支払われない場合について教えてください。
A:
1.
免責
保険会社は、保険金が支払われる場合として契約で定められた事故が生じた場合には、原則として、保険金を支払う義務を負います。
しかし、法律や保険契約において、一定の場合には保険会社が保険金の支払義務を免れることが定められています。この場合のことを免責といいます。
2.
免責事由の分類
(1)
免責事由には、保険一般に共通のもの(一般の免責事由)と、ある種の保険に特有のもの(特殊の免責事由)とがあります。
(2)
そして、特殊の免責事由は、加害者側加入保険(対人・対物賠償保険)と、被害者側加入保険(自損事故保険、無保険車傷害保険、搭乗者傷害保険、車両保険)とに大別されます。
3.
事故の発生原因に関する一般の免責事由
(1)
故意免責
保険契約者、記名被保険者、これらの者の法定代理人、または、記名被保険者以外の被保険者が、わざと(故意に)、事故を起こした場合です。
(2)
戦争等の事変免責
戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱等の事変または暴動により事故が起きた場合です。
(3)
地震等の天災危険免責
地震、噴火、台風、洪水、高潮または津波により事故が起きた場合です。
(4)
原子力免責
核燃料物質もしくは核燃料物質により汚染された物の放射性、爆発性その他有害な特性の作用またはこれらの特性に起因する事故、および、これら以外の放射線照射または放射能汚染により、事故が起きた場合です。
(5)
随伴事故免責
上記 (2) ないし (4) の事由に随伴して生じた事故、または、これらに伴う秩序の混乱に基づいて事故が起きた場合です。
4.
契約上の義務違反・特約による一般の免責事由
(1)
契約上の義務違反
ア契約締結時の告知義務違反、イ事故発生時の通知義務違反、ウ契約締結後に危険が増大した場合の通知義務違反、などの場合には、保険会社の保険金支払義務が免責または制限されます。
(2)
特約
ア運転者家族限定特約付契約における限定された運転者以外の者が運転していた場合、イ運転者年齢条件特約付契約における年齢条件対象外の者が運転していた場合、などの場合です。
(ソ)

対人賠償保険に特有の免責事由

Q:
対人賠償責任保険に特有の免責事由にはどのようなものがありますか?
A:
対人賠償責任保険においては、次に掲げる者が自動車事故の被害者であることが免責事由とされており、この場合には保険金が支払われません。
1.
保険証券に記載された被保険者(記名被保険者)
記名被保険者が第三者に対して損害賠償責任を負担することによって被る損害を填補するのが対人賠償責任保険の目的であるため、記名被保険者自身が被害者である場合には、対人賠償責任保険から保険金は支払われません。この場合、自損事故保険や搭乗者傷害保険から保険金を受け取ることになります。
2.
被保険自動車を運転中の者、その父母、配偶者、子
(1)
運転者は、加害者として損害賠償責任を負担する立場にあるため、運転者自身が被害者となっても、対人賠償責任保険から保険金は支払われません。この場合、自損事故保険から保険金を受け取ることになります。
(2)
また、被害者が運転者と親子または夫婦の関係にある場合にも、対人賠償責任保険から保険金は支払われないこととされています(親族間事故免責条項)。これは、このような関係がある場合には、通常、損害賠償請求は行われず、家庭内の問題として処理されるからとされています。なお、免責される親族関係の範囲は、「父母、配偶者、子」に限られ、祖父母、孫、兄弟姉妹は含ません。「父母」は実父母だけでなく養父母も含みますが、義父母は含まれません。「配偶者」には内縁関係にある者も含まれます。「子」は実子と養子の両方を含みます。
3.
被保険者の父母、配偶者、子
(1)
この場合も上記2の親族間免責条項と同様の趣旨により、免責とされています。
(2)
この免責事由は、損害賠償責任を負担する被保険者が数名いる場合には、それぞれの被保険者ごとに適用されます(個別適用条項)。
4.
被保険者の業務に従事中の使用人
被保険者の業務に従事中の使用人が被害者となった場合(労働災害)、労災保険により損害が填補されることなどから、対人賠償責任保険からは保険金は支払われないこととされています。
この場合も、個別適用条項が適用されます。
5.
被保険者の使用者の業務に従事中の他の使用人
被害者が、被保険者と同じ使用者に雇用されている使用人である場合、換言すれば、被保険者の同僚である場合、対人賠償責任保険からは保険金は支払われません。
この場合も、個別適用条項が適用されます。

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