自賠責保険2

交通事故損害賠償請求ガイド

交通事故が発生したときの措置、損害賠償責任、損害賠償の範囲、遅延損害金と時効、自動車保険、紛争の解決方法、刑事責任という7つの主題について、交通事故損害賠償請求のQ&Aをご紹介します。

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自動車保険のQ&A

(1)

自賠責保険

(ハ)

自賠責保険の支給要件

Q:
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険金はどのような場合に支払われるのですか。また、自賠責保険金が支払われない場合にはどのような場合がありますか?
A:
1.
自賠責保険金が支払われるための要件
自賠責保険金は、
(1)
自動車の保有者と運転者(被保険者)が、
(2)
自動車の運行により、
(3)
他人を死傷させたときに、
(4)
被保険者の損害賠償責任が確定することにより生じる損害を填補するために、
支払われます。
2.
免責事由
(1)
自賠責保険会社は、保険契約者または被保険者の悪意によって生じた損害については、被保険者に対する保険金の支払を免れるとされています(自動車損害賠償補償法14条)。
ただし、この場合であっても、被害者は、直接自賠責保険会社に対し、保険金額の限度で損害賠償額の支払を請求することができます(同法16条1項、4項)。
(2)
また、1台の自動車について2つ以上の自賠責保険または自賠責共済の契約が締結されている場合には、自賠責保険会社または自賠責共済組合は、これらの契約のうち締結した時期が最も早い契約以外の契約について支払いを免れるとされています(同法82条の3)。
(ニ)

被害者の直接請求

Q:
自動車事故が起きたとき、被害者も自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)会社に保険金の支払を請求することはできますか?
A:
1.
自賠責保険に支払を請求する場合には、
(1)
被保険者による保険金請求(加害者請求。自動車損害賠償補償法15条)と、
(2)
被害者による損害賠償額の支払請求(被害者請求または直接請求。同法16条)があります。
2.
被保険者は、被害者に対して自ら損害賠償額を支払った限度において、自賠責保険会社に対して、保険金の支払を請求することができます。
3.
他方、被害者も、加害車両の保有者の損害賠償責任が発生したときは、保険会社に対して、保険金額の限度で損害賠償額の支払を請求することができます。これは損害賠償額の請求と呼ばれ、厳密には、保険金の請求とは区別されています。
(ホ)

保険金の請求可能期間

Q:
自動車事故が起きた場合、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)会社に保険金または損害賠償額を請求できるのはいつまでですか。期間制限はありますか?
A:
1.
自賠責保険会社に保険金または損害賠償額を請求できる権利には、特別に短い消滅時効期間が設けられています。この期間を経過すると、これらの請求権は消滅してしまうので、注意が必要です。
2.
被保険者が自賠責保険会社に保険金を請求する加害者請求権の場合、時効期間は、被保険者が自ら被害者に損害賠償額を支払った日から2年とされています(自動車損害賠償補償法23条、商法663条)。
3.
他方、被害者が自賠責保険会社に損害賠償額を請求する被害者請求(直接請求)の場合、時効期間は、
(1)
傷害による損害の場合は事故時から、
(2)
後遺症による損害の場合は症状固定時から、
(3)
死亡による損害の場合は死亡時から、
それぞれ2年です(自動車損害賠償補償法19条)。
4.
何らかの事情によって請求が遅れ、時効期間が経過しそうなときは、予め自賠責保険会社に連絡のうえ、所定の手続をとるべきです。
なお、法律上、時効中断の理由として、請求、差押え、仮差押え、仮処分および承認があります(民法147条以下)。

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