買収と防衛が親近する具体例

企業買収と企業防衛マニュアル

第1章

企業買収と企業防衛序論

集合写真
第3

買収、防衛皮膜論

買収と防衛が親近する具体例

具体例で検討してみましょう。簡単な例ですが、A社がC社から株式の買占めに遭ったため、防衛策としてA社と友好関係にあるB社に対して株式を発行したとします。この方法には多々問題がありますが、全て必要な要件はクリアーしたとします。これによって、A社の発行している株式数が増加し、C社保有の株式によるA社の支配割合は相対的に低下するため、C社に対する防衛に関しては、ひとまず成功したことになります。
しかし、B社に対して発行した株式数がA社の既発行の株式数に比較して巨大であった場合はどうでしょうか。この場合、A社の最大多数の株式保有者としてB社が君臨することになります。つまり、A社は助けを求めたB社に買収されたことになるのではないですか。賊に襲われて第三者に助けを求めた被害者は、急場しのぎの防衛に成功しますが、助けられただけでなく、この助っ人の言いなりになってしまうということがあるのです。このような場合は、買収と防衛は一枚の紙の裏腹の行為ともいえるでしょう。
一方で、他社を買収しようという会社において、買収資金を捻出するために大量の株式や新株予約権付社債などを第三者に対して発行した場合にも、同様の結果になるでしょう。資金は手に入りますが、単なる借金ではありませんから、それだけでは済まないものが残ります。つまりは他人に襲いかかろうとすると、後ろから別の襲撃を受けるというわけです。他社を買収しようとするときは、他社に買収されないように気をつけろということでしょう。

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