一株一票の原則

企業買収と企業防衛マニュアル

第1章

企業買収と企業防衛序論

集合写真
第4

会社の支配

一株一票の原則

会社法は、多額の投資をした者は、株式会社においてそれだけ多くの発言権を有するという原則を採用しています。株主として20倍の資金を出資した者は、株主総会を介して20倍の発言権を有するという合理性を肯定しているのです。そして、この原則を維持することによって、株式会社という一つの法人に対し、投資家から多額の出資がなされることを誘導しているのです。
株式会社は取締役が中心となって経営してゆくことになっており、その取締役を選出する株主総会においては、株主の「一人一票」で計算される多数決ではなく、株主の有する株式の「一株一票」で計算される多数決が適用されます(会社法第309条)。この一株一票の原則によって、多数の株式を支配した者は会社を牛耳ることができますし、その他の総会決議事項についても大株主優越の処理が認められているのです。結局、議決権を有する株式を多数獲得した者の意見が通りやすいというわけです。
そこだけをみれば、会社法は金持ち優遇の論理に立っていることになります。しかし、株式投資がリスクを負った行為であることに着目すれば、多額の投資をした者、すなわち多額の投資リスクを負った者には、相応の決定権を与えようという合理性をもっているのです。
加えて、会社法は随所で少数株主、単独株主を保護する措置も用意しています。

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